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地鉄や刃文を際だたせるための照明と展示ケースの妙 刀剣博物館

2018年1月19日、東京・両国の旧安田庭園の一角に刀剣博物館がオープンした。従来、代々木にあった刀剣博物館が老朽化したため、当地に移転・新築されたものである。建築設計は槇総合計画事務所が手がけ、展示ケースの製作・施工はコクヨが担当した。

新しくなった刀剣博物館の建物の特長の一つは、円筒を伏せたような形状の屋根だ。当地には以前、両国公会堂があり、そのドーム型の屋根が地元墨田区民をはじめ都民から親しまれていた。その跡地に建てられることになった刀剣博物館はドーム型の面影を残すよう、半円筒形の屋根が採用されたのである。

最上階の3階にある展示室の天井も外観のイメージと統一感を持たせるため、半円筒形を内側から見上げるような、約6mもの非常に高い天井となった(上の写真)。そのため、日本刀展示の定石ともいえる天井からのライティングが難しくなったが、それを逆手に取り、壁面展示ケースの手前まで「垂れ壁」を下ろして、その裏側に適切な照射角度で外打ちのLEDスポット照明を設置。そうすることで鑑賞者の視界から展示照明を隠し、おおらかな大空間と日本刀の鑑賞に最適な光環境を両立させている。また、展示ケース内外の照明に工夫をこらすなど、日本刀の繊細な美しさを引き出すライティングを実現している。

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