ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.32 > 柔らかな光に包まれて 仏像が穏やかに浮かび上がる。 上原美術館

壁面展示ケース内の照明は、上部にライン照明が3本とスポットライト、下部にライン照明が1本。いずれも調光、調色ができる。上部照明はいったん反射板で光源をぼんやりと拡大させ、その上で拡散フィルムを通して照射させることで、柔らかな拡散光を生み出している。仏像の一体ごとに光を当てるのではなく、まわりから仏像にまとわりつくような光によって、ディテールを浮き立たせながら、同時にほとんど過度な陰影がついていない。鑑賞者は、あたかも障子越しのほんのりとした光で仏像を眺めているかのような、従来、あり得なかった照明環境が実現した。その上で、必要な個所にスポットライトを利かせて、美術品の魅力を際立たせている。

壁面展示ケースの前面のガラスはフルオープンで、非常に展示品を出し入れしやすい。また、女性の手でも楽にガラスをスライドさせることができる。免震装置も鑑賞の妨げにならないように、非常に薄く設えられている。ケース内の背面と側面のそれぞれのクロスの色味をあえて変えることで、壁面展示ケースの左右を引き締める効果を生んでいる。

Museum data
〒413-0715 静岡県下田市宇土金341
上原美術館 仏教館
ウェブサイト http://uehara-museum.or.jp/

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