ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.17 > その作品のためだけの光と空間を創り出す、最高水準の展示環境を実現 根津美術館

[展示室1・展示室2] 絵画・書蹟・彫刻・陶磁・漆工など幅広い分野にわたる根津嘉一郎氏のコレクション。根津美術館の壁面展示ケースは、展示品の大きさや素材に合わせた展示ができるよう、視野角調整パネルや背面可動パネルが採用されている。
視野角調整パネルとは、展示ケース上部の金属パネルに、もう1枚アルミ素材のパネルを吊り下げて連結し、壁面展示ケースのガラスの範囲(視野)を調節するもの。視野角調節パネルを取り付けた際には、上部からファイバースポットを延長でき、作品に近い位置で照明をあてることができる。根津美術館のコレクションの1つである日本刀の美しさを表現するために、照明をあてる角度にもこだわった。
壁面展示ケースには、作品を鑑賞しやすいように手すりが取り付けられているが、これは、あやまってガラスに顔を打ち付けたりしないよう衝突防止の役割も果たす。
手すり下部にはLED照明が仕込んであり、「よりよい光環境を探して、下部照明が目に入らないように外へ外へと移動させた結果、ガラスの外にある手すりの下に落ち着いた」と根津美術館の展示ケースの設計を担当したコクヨファニチャーの山内は話す。
また、壁面展示ケースの奥行きも、電動の背面可動パネルで120~80cmの間で調節できる。ボタン1つで動作するため、奥行きを目でみて確認しながら最適な位置に調節することができる。
さらに、根津美術館の壁面展示ケースは、横幅4.5mの大きなガラスが均等に並んでおり、継ぎ目がほとんど気にならない。しかも、展示替えのための出入口すら見つからない。これは、作品の鑑賞に邪魔となるものを徹底的に隠し、排除した結果だ。

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