ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.27 > シンプルな無彩色の空間で、考古遺物を細部まで堪能する。東京国立博物館/平成館

考古展示室はワンフロアの広い空間である。フロアの中央2か所に間仕切り壁があるとはいえ、フロアレイアウトの自由度は高く、来館者に満足いただくための工夫の余地は大きい。

その一つがフロアの真ん中に新設したミニ展示室だ。展示されているのは、国宝の「銀象嵌銘大刀」(熊本・江田船山古墳出土)と重要文化財の「石人」(福岡・岩戸山古墳出土)の、たった2点の小さな部屋である。ミニ展示室の入口と出口は向かい合っているが、上の写真のようにちょうど重なり合うため、そこに小さな部屋があるようには見えない。コーナーを曲がってミニ展示室に向かっても、視野が遮られることなく、圧迫感を受けないのはそのためである。

一般的に、入口の外側から向こうの出口を見ると、遠方の出口の方が小さくなるので、入口の中に出口が納まって見えるはずだ。そして、そこに部屋の存在を感じてしまう。完全に重なっているのは、奥の出口を入口よりも大きくしているからである。ここにも来館者への徹底した配慮が見て取れる。

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