ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.35 > 地鉄や刃文を際だたせるための照明と展示ケースの妙 刀剣博物館

2018年3月の新ケース導入後に初めて開催された企画展は、「堺市の指定文化財―絵画・彫刻・工芸品―」。ハイケースにまず展示したのが、堺市の指定文化財である「住吉祭礼図屏風」(江戸時代)だ。六曲一双の作品であるため、大型のハイケースを壁面に沿って2台並べ、1隻ずつケースに収めて展示された。

このハイケースのサイズは、幅4,000mm✕奥行き1,200mm✕高さ3,000mm(腰高さ500mm)で、独立ケースとしては最大級のもの。壁面ケースと同じような感覚で使用できる。ケース内の照明は、コクヨの技術で、2,700Kから4,000Kの幅で調色できる4列の上部照明と、8つの上部スポット照明を採用。作品ごとに「照度」「色温度」「照らし方」を工夫できる。天井照明に設置された黒色のルーバーは、目に刺さるような鋭い光を和らげ、鑑賞者にとって優しい光を実現している。

三方がガラス面になっているので、いったいどこから作品を出し入れするのだろうと思うが、簡易操作でガラスが開く構造になっているのも、コクヨの技術である。

「住吉祭礼図屏風」の展示に際しては、上部照明は手前2列の照度を上げ、奥の2列を照度ダウンし、上部スポット照明は8つのうち両端の2つを消灯。作品に焦点を当てたライティングによって、絵画表面の微細な凹凸までくっきり見せることに成功した。

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