ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.35 > 地鉄や刃文を際だたせるための照明と展示ケースの妙 刀剣博物館

旧石器時代からの悠久の歴史をもつ堺には、土器や埴輪をはじめ、その時代の文化や民俗を映し出す工芸品なども数多く残されている。そうした作品を360度から見せるために導入したのが、四面ガラスの行灯ケース。同館所蔵の重要文化財「漆塗太鼓形酒筒」(室町時代/総高121cm、面径73.4cm)を展示できる大きさとした。

この酒筒は類似の現存遺品の中でも最大級であり、木目を生かした透漆、両端を縁取る黒漆、鼓面を彩る黒漆地に朱漆と、漆の使い分けで重厚感のあるカラーグラデーションを表現している。三つ巴の紋様はもちろん、周囲の微細な彫刻も見どころの一つだ。

上部照明と上部4隅のスポット照明により、色の妙味、彫り物の立体感などを損なわず、すべて見せ切ることができる。もちろん、「漆塗太鼓形酒筒」だけでなく、調色と照らし方によって、様々な展示品に対応できる。

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