ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.37 > シンプルを極めた展示空間が、作品の魅力をクローズアップ 出光美術館

出光美術館の特徴として、電源を天井から取らなければならず、新規に導入した独立展示ケースでは、それにあわせた設計を行った。出光美術館は天井高が2,400mmとやや低く、従来の展示ケースでも電源を天井から取っていた。一般的には電源はフロアから取るが、その場合、展示ケース内のコーナーの一角に、上部照明用に下から電源コードを通すための細い金属パイプを立てる必要が生じることもある。この展示ケースは電源を天井から取ることで、配線用の金属パイプを立てる必要がなくなり、ケース内に鑑賞の妨げとなるものを一切なくすことができた点で優れている。

そのために、展示ケースの下部に内蔵される機器の一部を、上部の照明ボックス内に納めなければならなくなったが、コンパクトに収納することに成功し、照明ボックスの厚みを100mmに抑えることができた。

また、外装を1枚ものにすることで目地をなくし、展示ケース内の床板周辺の見切り材をなくしてクロスを全部巻き込むようにするなど、細部にわたり余分な要素を排除した。

このように展示ケースの意匠が非常にシンプルであるため、鑑賞者はライティングで浮かび上がる作品に集中することができる。

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