ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.40 > 間接照明のやわらかい光が室内に明るく降り注ぐ 足立美術館

一歩足を踏み入れて驚かされるのが、展示室内の明るさだ。現代アートは別として、多くの美術館では展示室内の照度は低く落とされ、その中で作品が浮かび上がるようにライティングされるのが一般的である。しかし、ここ魯山人館の展示室内は全体に非常に明るい。そして、作品は基本的に室内照明のみでライティングされている(一部、スポット照明を補助的に使用する場合もあり。後述)。展示室の天井は一面がまっ白で、照明器具やスポット照明用のレール、点検口や空調の吹出し口なども一切なく、極めてシンプルな空間が鑑賞者を招き入れる。

室内照明は、壁面展示ケースの上部に見えないように仕込まれており、そこから照射された光が、まっ白でフラットな天井に反射して、室内全体に降り注いでいる。通常の室内構造では、壁と天井は直角に接しているが、この展示室では曲面となっていて境目となる角がない。そのため、反射した間接光は均一な拡散光となって室内にいきわたっている。その光が、影になりやすい壺の下半分にもうまく回り込み、どこにも強い陰影が生じていない。

また、作品を室内照明だけでライティングしているため、壁面展示ケースも独立展示ケースも上部に照明ボックスがなくガラス面となっており、その点でも鑑賞を妨げるものが極力排除されている。

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