ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.18 > 八角形の宇宙が出迎える方位除信仰の世界 寒川神社 方徳資料館

展示室中央の天井に描かれた星宿図(星座)のまわりには、天の四方を司る青龍・朱雀・白虎・玄武の四神と方角・時を表す十二支の絵が吊るされ、その真下には方位にあわせて平安京のジオラマが置かれている。方位除信仰をテーマとする方徳資料館の象徴的な展示物である。
平安京のジオラマが納められている展示ケースは八角形の珍しい形をしている。八角形とは東西南北とその中間の八方向を示し、宇宙を表す。その宇宙観を表現するためにオリジナルで設計・開発されたもので、おそらく、八角形の展示ケースは日本の美術館や博物館ではこれが唯一のものだろう。
八角形を構成する8本のフレームは、平安京のジオラマの鑑賞の妨げにならないように、できるだけ細く設計された。これだけの細さに照明を埋め込むことができたのも、最新のLEDだからこそである。しかも、ガラスの荷重だけでなく、万一、人が手をついてしまっても、その荷重を支えるだけの強度が求められた。
必要な強度を確保しながら、展示物の鑑賞のじゃまにならない細さをギリギリまで追求して完成した展示ケースである。

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