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地鉄の模様と刃文が浮かび上がる瞬間をとらえる。森記念秋水美術館

日本刀剣史上もっとも著名な刀工の一人である正宗。富山県(越中国)は、その正宗の兄弟子と言われる則重、天下三作の一人である郷義弘を輩出した地でもあり、室町時代には宇多派の刀工が活躍した刀剣の産地である。2016年6月11日、富山市千石町に、この地にふさわしい日本刀を専門とする森記念秋水美術館がオープンした。館名にある「秋水」とは、曇りのない研ぎ澄まされた日本刀を意味する言葉である。

当館は、富山の名刀工「則重」「郷義弘」「宇多派」の秀作をはじめ、重要文化財や重要美術品を含む全国でも有数の日本刀コレクションを誇る。いずれも地元の医薬品メーカー、リードケミカル株式社の創業者であり、現会長である森政雄さんが蒐集したものだ。他にも、横山大観、川合玉堂など日本の近代美術史を代表する画家の作品や日本、中国の陶芸や書なども所蔵する。

2階は、日本刀専門の展示室である。所蔵する日本刀200振りあまりのうち、常時、約30振りを定期的に入れ替えて、展示する。日本刀を鑑賞するのにもっとも適した環境をつくるために、根津美術館他の既存美術館を見学・研究し、展示ケースの企画・設計を任せる先として、実績のあるコクヨに白羽の矢が立てられた。

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