ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.36 > 地鉄や刃文を際だたせるための照明と展示ケースの妙 静岡県立美術館

最新LED照明の指向性の高さは、展示ケースのガラスへの映り込みを軽減することにも効果がある。

展示ケース内の照明の光がガラスの外に漏れると、その光がガラスの前に立つ鑑賞者を照らし、眼の前のガラスに鑑賞者自身が映り込んでしまう。作品をじっくりと鑑賞したいのに、自分のシルエットがじゃまになったという経験は、誰もが一度ならずあるだろう。あるいは、展示ケースが向かい合っている場合、ガラスの外に漏れた光は、反対側の展示ケースのガラスへの映り込みとなる。

したがって、映り込みを軽減させるには展示ケースの外に光が漏れないようにしなければならないが、その一方で、展示ケース内の床面全体の均斉度を高めるには、床がガラスに接するギリギリまで照らさなければならない。これだけ精度高く照射範囲を選択することは、蛍光灯では不可能で、指向性に優れた最新LED照明でしか実現しない。

逆に言うと、最新LED照明に入れ替えて配光をうまくコントロールすれば、ここ静岡県立美術館のように既存のガラスのままでも、じゃまな映り込みをかなりの程度、軽減することができる。

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