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HOME > ミュージアムレポート > VOL.39 > 細部の美しさを際立たせる照明と展示の最新技術 明治神宮ミュージアム

上の写真は、明治天皇と昭憲皇太后の御尊影である。イタリア人の画家、エドアルド・キヨッソーネの描いた作品だ。壁面展示ケースはそのために専用に製作されたものである。

御尊影が収められた額自体も非常に豪華なもので、凹凸が深く刻まれている。そのまま展示ケース内の背面にかけると、その凹凸がまわりに複雑な影を落とし、見た目が煩わしくなることが予想された。そこで、額ごとぴったりと入る凹みを背面に彫り込んで、背面と額の面(つら)がフラットになるような構造がとられることになった。

そのために、設計段階でモックアップによる検証が何度も行われたが、わずか数ミリ程度でも高さの違いがあれば、気になる影が生じることが判明。完全にフラットになるよう、背面の凹みのジャストな深さを割り出して完成させた結果、表面にまったく影のないシンプルで美しい展示が実現した。

展示ケース内の照明は、上部にベース照明とスポット照明が設置されている。ベース照明は調色・調光が可能だが、御尊影が自然に見えるように3,300Kに設定。お顔は気持ち明るくなるように、3,500Kのスポット照明でライティングしている。
前面のガラスは約3m幅の一枚物の高透過低反射合わせガラスである。低反射フィルムを使うと、フィルムの継ぎ目が生じるため、低反射のコーティングを施している。

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