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斬新な「半島ケース」で奉納刀ならではの精神性を表現

延喜式名神大社・勅祭社に列せられる国家鎮護の神宮として、古くから篤い崇敬を集めてきた熱田神宮は、神話に登場する「草薙神剣(くさなぎのみつるぎ)」をご神体とすることから、1000年以上にわたって刀剣の奉納を受けてきた。それらの刀剣を拝観するための「剣の宝庫 草薙館」(以下、草薙館)もまた、一般の美術館・博物館とは異なる神聖な空間として考えられた。

天井に配された鏡には屋外の深い緑が映しだされ、境内に散見する木曽石を用いた展示室内の設えとともに、神宮を取り巻く「熱田の杜」との一体感が図られている。奉納された刀剣は、もはや武器ではなく神霊の依坐(よりまし)と考えられることから、その神霊性を体感できるよう、これまでに類をみない独創的な「半島ケース」が10台導入された。

従来の壁面ケースと違い、半島のように突き出すガラスケースに置かれた刀は、あらゆる角度から仔細に眺めることができる。10月の開館記念展には、幅広い刃の表に竹、裏に梅が彫られた脇指「熱田康継」が出展され、両面を同時に観賞できる利点をフルに発揮した。11月の刀剣展では、重要文化財・愛知県指定文化財10口が「半島ケース」でお披露目された。

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