ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.44 > 斬新な「半島ケース」で奉納刀ならではの精神性を表現 熱田神宮「剣の宝庫 草薙館」

「半島ケース」の躯体には、壁面と同じ木曽石と木が用いられた。ケース側面には高透過低反射ガラスを使用。ケース内の床には和紙畳が敷かれ、和の趣で統一されている。一般のイグサの畳はわずかではあるが有害ガスが発生するため、和紙畳を採用した。

また、研ぎ澄まされた刃をもつ刀剣の損傷を防ぎ、安全に取り扱うため、ケースの幅を最大限に使って1mの開口部を確保。ケースの向こう側を見せたくない場合には、ケース上部に格納されたロールブラインドをおろして、ガラス面を遮断することもできる。

日本刀を詳細に見るためには、視線を上下し、地鉄(じがね)の模様や刃文(はもん)が浮き出るベストポジションを探る必要があるため、ガラスケースの外側には木製の框(かまち)が設けられた。框に手をつくと、安定した姿勢で目を近づけられる。壁面に対して斜めに並ぶ半島ケースは従来の独立型ケースよりコンパクトで、正面に立てば、ほかの来館者の動線を邪魔する心配もなく、心ゆくまで鑑賞できる造りとなっている。

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