ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.47 > 真上から差し込むスポットライトで浮かび上がる曜変天目の小宇宙 静嘉堂文庫美術館

彫漆は唐時代に創始され、宋~元時代に蘇州・浙江省などの江南地方で発達した名品。推朱の赤は、明や宋など漢民族の国のシンボルカラーである。左は牡丹堆朱稜花盆「大明永楽年製」銘(明時代、15世紀)。精緻な毛彫に加えて、彫刻の立体感が際立っている。朱漆を塗り重ねて文様を彫り込む堆朱は、永楽期を中心に黄金期を迎えた。右は雲龍堆朱盒「大明宣徳年製」銘(明時代、15世紀)。龍は皇帝権威を表し、九龍図は王権の象徴として描かれた。蓋の中央に宝珠をつかもうとする龍を大きく表し、身と蓋の側面に各4匹、計9匹の龍が瑞雲と牡丹に包まれている。いずれも官営工房作の証しである銘が刻み込まれた優品である。

上の写真でわかるように、ケース床面の四隅のズーム付きスポットライトは高さを変えて使用できる。右手前の高いスポットライトで右側の雲龍堆朱盒、左手前の低いスポットライトで左側の牡丹堆朱稜盆をライティングしている。ほかに、さらに低いスポットライトと黒色のスポットライトもあり、計4種類を作品に応じて使い分けられる。

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