ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.47 > 真上から差し込むスポットライトで浮かび上がる曜変天目の小宇宙 静嘉堂文庫美術館

全72図からなる酒井抱一の画帖、絵手鑑(江戸時代、19世紀)は、尾形光琳の画風を継承する抱一が、狩野派・土佐派・円山四条派・中国画など幅広い画技を習得していたことを物語る作品である。描かれた題材は、伊藤若冲の版画帖『玄圃瑤華(げんぽようか)』の図様や、当時流行していた「古画趣味」を反映した王朝の古典人物、俳画など、バラエティーに富んでいる。今回は、「黒樂茶碗」や「蔦紅葉に蟋蟀(こおろぎ)」など6葉を展示(前後期で展示替)。

ケース手前と奥の枠内に設置されたライン照明2本で、作品をライティングしている。覗き展示ケースの照明は、一般的に光源に近い手前や奥、また、2つの照明が重なる中央は明るくなりすぎる一方で、その間はやや暗めになりがちで、照度にムラができてしまう傾向がある。ここでは何度も照明検証を重ねた結果、展示ケースの床面全面に置かれた6葉の絵手鑑を極めて均一にライティングしている。

覗き展示ケースはもう1台導入されており、気密性を維持しつつ2台を連結して、倍の長さの展示ケースとしても使える。

Museum data
〒100-0005 東京都千代田区丸の内2-1-1 明治生命館1F
静嘉堂文庫美術館
ウェブサイト https://www.seikado.or.jp/

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