ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.55 > 着脱式パネルや個別照明で汎用性を高め書画・工芸など幅広い美術品に適応 泉屋博古館

企画展示室は、これまでの1室に隣接する形でもう1室増設。広さや雰囲気の異なる2室を繋げることにより回遊性がアップし、展示空間のドラマ性が向上した。写真は新設された展示室。横長の空間の一辺に、約13mに及ぶ壁面展示ケース(幅12,817mm×奥行900mm×高さ3,420mm)を導入した。低反射加工をしていない高透過ガラスを採用しているが、室内は黒を基調とし、ケースの外に光が漏れないよう配光しているため、映り込みはほとんどなく、作品鑑賞に没入できる。開閉は3枚ガラスの内開き方式でフルオープン仕様。上部3本、下部1本のライン照明は、いずれも有線のリモコンで目視しながら調光調色(2,700K~5,000K)が可能。上下とも1灯ずつ個別にON・OFFできるので、ケース内に展示台を入れる場合は部分的に下部照明を切ることができる。

2022年にリニューアルした泉屋博古館東京の壁面展示ケースに倣って、ケースの背面上部のピクチャーレールを設置した箇所を少しコの字に窪ませることで、掛け軸を吊るす際にワイヤーが壁にぴったりと沿うようにでき、作品が壁面から浮くことのないよう細やかな配慮がされている。

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