ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.41 > 近代以降の日本美術をつむぐ最先端の展示技術 京都市京セラ美術館

「コレクションルーム」の壁面ケースは、屏風や掛け軸、大型絵画などの展示が多いため、床上から天井近くまで開口部が広い。また、ガラスの開閉を内開き式にすることで、腰パネルがシンプルに収まった。ケースの上部と下部にはそれぞれ吸入口とファン付き排気口が設けられ、ガラス扉を開けずに、必要に応じてケース内の空気を換気できるようになっている。

上部ベース照明は3列で調光・調色(2700~5000K)・方向を自在に調整でき、均一なライティングを実現。展示ケース内の壁面と床面のクロスは、均一に光が当たるとベージュの色味に差がでるため、モックアップで実際に確認し、あえて違う品番のものを使用した。

上の写真は、明治末から昭和初期にかけて日本画の一ジャンルとして確立され人気を博した「美人画」のコーナー。夏期展示では縁側で月を待つ後ろ姿を描いた上村松園「待月」、秋期展示では女性モデルが脱いだ着物を手放せず恥じらう様子を描いた竹内栖鳳「絵になる最初」(重文)などの名品が来館者の目を楽しませた。また、ケース前面に使用している高透過低反射ガラスは、映りこみが少ないために存在感を感じさせず、日本画のしっとりとした色彩や表装の風合いが忠実に再現されている。

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