ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.41 > 近代以降の日本美術をつむぐ最先端の展示技術 京都市京セラ美術館

平型のぞきケースは単独で使用するほか、ケース側面のパネルを外して横に連結すると、1台の長いのぞきケースとしても使用できる。上の写真では、3台連結して全長5.4mにして、冨田溪仙「宇治川之巻―伏見」を展示。大正初期(1915年)に開かれた第2回院展入選作だが、描かれた宇治川の風物は江戸時代から受け継がれたものである。伏見界隈に住み近隣の散策を好んだ作者は、押し寄せる近代化の波のなか、郷愁の思いをこめて描きとめたのだろう。滔々と流れる川のあちこちに水車が回り、船が行きかう"水運のまち"伏見のにぎわいを存分に見せている。

作品に向かって手前と奥の枠内に照明が仕込まれており、2方向から均一に照らす明かりは連結部を感じさせず、作品の物語世界を追う鑑賞者の目の流れをスムーズに導く。

Museum data
〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町124
京都市京セラ美術館
ウェブサイト https://kyotocity-kyocera.museum/

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