ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.45 > 展示ケースの工夫から生まれる人とモノとの親密な距離感 藤田美術館

展示室に入って左側の壁一面には、全長34.7mにおよぶ壁面ケースが設置されていて、上の写真に見るように、天井から床までが全面ガラスである。さらに、一般的に1.2mある奥行を1.0mに抑え、作品との距離にこだわった。展示室全体は可動壁で4つの区画に仕切られ、この壁面ケースを一部分ずつ使用する。

展示ケース内の床面はそのままでも使用できるし、小さな作品は展示台を置いて展示することもできる。しかも、作品の大きさや形状に合わせて、展示台の高さを選ぶこともできる仕組みだ。

取材当日は、「赤」をテーマとする区画で、天地いっぱいの展示スペースを活用して、「薬師三尊十二神将図」(重文)、「華厳五十五所絵」(重文)など、ボリュームのある掛け軸が展示された。展示室のフローリングがそのままケース内につながり、映り込みのない高透過・低反射ガラス越し美術品は、手を伸ばせば触れることができそうだ。

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