ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.45 > 展示ケースの工夫から生まれる人とモノとの親密な距離感 藤田美術館

巻物や書画を展示する300cm×75cmの覗きケース。このケースの展示床板はごく簡単な操作で傾斜をつけることができる仕組みになっている。壁際に設置したときに、奥を少し高く手前を少し低くして傾斜をつけることで、作品をより見やすくするためである。

上の写真は、鎌倉時代の宮廷絵所預、高階隆兼が描いたとされる「玄奘三蔵絵」。中国・唐代の高僧、玄奘が経典をもとめて天竺を訪れる旅路が、やまと絵の技法で色鮮やかに描かれている。当時の日本人が知りえない異国の風景をみごとに表現する想像力の豊かには目を見張るものがある。興福寺大乗院に伝来したが、当時は奥義を伝えるものとして、貫首しか見ることができない絵巻だった。現在は全12巻をすべて藤田美術館が所蔵している。

Museum data
〒534-0026 大阪市都島区網島町10番32号
藤田美術館
ウェブサイト https://fujita-museum.or.jp/

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