ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.45 > 展示ケースの工夫から生まれる人とモノとの親密な距離感 藤田美術館

行灯ケースは5面ガラスタイプを採用。展示ケースもケース内の展示台も、存在感を抑えるために足元を少し細くして、くびれたフォルムにしているのが藤田美術館の行灯ケースの特徴だ。展示室天井のスポットライトを駆使して、暗い室内に作品だけをぽっかりと浮かびあがらせている。

茶碗を置く展示台の高さは、他館の一般的なものよりやや低い。茶席や茶室で正座して茶碗をもつ高さに目線をあわせるためだ。美術品を必要以上に祀り上げず、身近に感じてもらうための工夫である。

展示台の天板は、特注のグレーのクロスと木製の板の2種類。茶碗は毛氈や袱紗の上に置くものなのでクロスに、仏像などはお寺に安置されているものなので板の上に、とモノの本来あるべき姿を考えて天板を選ぶ。写真では、考古品の「埴製枕」(重文)に木製の天板が使用されている。

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