ミュージアムレポート

HOME > ミュージアムレポート > VOL.50 > 理想の環境で陶磁器を見せたい!高い理念が感じられる展示エリア 大阪市立東洋陶磁美術館

国宝「油滴天目茶碗」には、コクヨ製の専用独立ケース(900mm角)が導入された。上部の面照明が色や質感をあるがままに伝え、面照明の中央に設置したスポットライトが見込み(内側)の美しい斑文と虹色の光彩を浮かび上がらせる。存在を感じさせない4面の高透過ガラスと、茶碗の外側を映す鏡面の展示台によって、あらゆる角度から鑑賞が可能になった。展示台の高さは、小柄な女性や子どもも茶碗の内側を覗きやすいように、と90㎝に設定されている。

「油滴天目茶碗」は、茶碗の内外をびっしりとうめつくす斑文が、水面に浮かぶ油の滴のように見えることから「油滴」の名がある。宋代に流行した喫茶用の黒釉茶碗の最高級品で、鎌倉時代以降に日本へもたらされ、関白豊臣秀次が所持していたという。福建省にある建窯で焼かれたもので「建盞」とも呼ばれる。

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