HOME > ミュージアムレポート > VOL.53 > 数々の新機軸を搭載した 累計197メートルもの壁面ケース 大阪市立美術館
日本や中国の美術品は自然素材でできているため、湿度変化による伸縮で破損や変色が起こりやすく、気密性が重視される。今回のケースは、エアタイトの空気の入れ替え回数が1日当たり0.15回。これは標準の約2分の1にあたり、国内最高基準の気密性となる。そのため、温度・湿度がしっかり管理されており、文化財の保全に配慮しながら展示できる。
ケース内の照明は調光・調色(2700K~5000K)が可能な上部3本・下部1本のライン照明と、1灯ずつ角度を変えられる上部のスポット照明を組み合わせることによって、全体に影が少なく非常に均斉度の高いライティングを実現。調光・調色はタブレットで自在に無線操作できる。光がケースの外に漏れないようにコントロールしていることと、両面低反射フィルム貼りの高透過ガラスによって、映り込みを極力抑えているため、来館者は鑑賞に集中できる。