
HOME > ミュージアムレポート > VOL.56 > 鑑賞と保存を高い水準で両立する、ハイスペックな展示ケース 横浜美術館
「今村紫紅展」展示風景3階のギャラリー1とギャラリー6に導入した壁面ケースはいずれもL字型配置で長さが27mと9m、奥行1.2m×高さ5mで、大型の屏風や高さのある掛け軸などにも対応する(上の写真はギャラリー6)。前述のとおりエアタイト機能を備え、二酸化炭素や粉塵のケース内侵入を抑えるとともに、空気交換率を1日0.3回に制御して温湿度を安定させる。一方、ケース内外の空気環境に応じて、気密性能をノンエアタイトに切り替えることも可能。内装下地やクロスには、作品に影響するガスが出にくい素材を用いている。
前面のガラスは、映り込みを極力抑えた低反射仕様だ。ガラス幅が4 m以上もある大型のもので、ガラスのつなぎ目となる目地の間隔が広く、幅のある屏風でも目地にかからずに展示できる。また、大型ガラスを開閉する際の負担を軽減するため内開き機構を採用。ケースの上下のパネルをほとんど開けることなく、少ない手順でガラス扉を開閉でき、操作性や安全性にも優れている。
こだわりの一つが、ケース内の床面と下部パネルの上面をフラットに揃えた点である。ケース内の床面と下部パネルの上面との段差をなくして安全にケースに出入りできるようにし、かつ、作品とのへだたり感を極力なくした。なお、実際には床面と下部パネルの上面とは10mmの差を設けることで、視覚的にフラットになるよう工夫している。