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本館18室 近代の美術

【本館18室 近代の美術】

巻物の展示のために作られた全長9.5mの傾斜型覗きケース。ガラスの継ぎ目が少なく、いっぱいに展示された巻物は圧巻だ。照明は手前と奥の両方に設置されており、鑑賞者の目に光が入らない。また、展示台の角度も吟味され、子どもや車椅子の方も鑑賞しやすいように考えられている。

通常、斜めの台に光をあてると、照明から近い所の光は強く、遠い所は弱くなり、光のムラが生じやすい。しかし、この展示ケースでは、作品に均一に光があたるよう手前と奥の2本の照明の照射角が絶妙に調整されている。斜めの光の、色の再現性の確保は非常に難しいテーマであったが、仕上がった展示ケースに苦労のあとはまったく見えない。余計なストレスを感じさせず「作品の鑑賞に集中してほしい」という関係者の思いが実を結んでいる。

さらに、この傾斜型覗きケースは開閉方法も特徴的で、水平にリフトアップするのではなく、奥を軸にして手前が大きく開くようになっており、展示替えの際に作品の出し入れがスムーズにおこなえる。

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